「カナ〜! ついに今日こそ決戦のときだよっ!」

「い、いえっさー!」



とある日の放課後。

ひとまず掛け声にノリを合わせて、拳を天に突いてみる。

ここで一旦語句解説を挟むと、決戦=ハイスペ男子との合コンである。


「よっし、今回こそ彼氏ゲットするぞ〜!」

「しかも今日って、大学生なんでしょ?! テンション上がる!」

「やっと歳上男子漁りだ〜!!」


女の子の友人3人が意気揚々と作戦会議をしている横で、悲しくもわたしは冷や汗たらり。


……こ、これは、かなりまずい。

すぐそばで、座って帰る支度をしている吉良くんをちらりと見る。


そう、わたしはいま、合コンに行くという話題を、吉良くんの真横で繰り広げてしまっているという大失態をしでかしているのだ……!!


「ねっ、カナも楽しみだよね! 大学生との合コン!」

「え?! あっ、うん、そうだね〜! うんうん、スッゴク、タノシミ!」

「だよね〜! カナが乗り気じゃないとつまんないし!」


ごめんね、英梨(えり)ちゃん!!

わたしの脳内はいま『やばい吉良くんに聞かれてる手練れな女だと思われてるやばい』一色なんだよ……!!