そんなに琳果が困った顔をすることないと思うんだけど……。
だって葛葉は、わたしに気になる人(もちろん吉良くん)がいると知ったら、びっくりするだろうけど、安心すると思うんだ。
葛葉がいま、わたしに構うのも、心配だからだとわかってるから。
そろそろ葛葉にも、わたしから離れて、ほかの誰かと恋してほしいもん。
なによりも、わたしは葛葉の幸せを願ってると同時に、もう彼に心配されたくないの。
「んー……まあ八代も不憫なやつだよ」
琳果と葛葉は、どこかお互いがお互いをわかり合っているところがある。
ちょっと羨ましいけれど、そんなふたりの関係は謎が多い。
あいまいにうなずくわたしに、琳果は話を切り上げるようにグラスに入った水を飲んだ。



