「カナ、最近けっこうぼーっとしてること多いよね」
冷や汗たらり。
やっぱり琳果の鋭さには頭が上がらない。
さらに彼女がわたしの向いていた方向を見ようとするから、焦って彼女の前で手をブンブンと振った。
「えへへ、最近寝不足なの!ちょっといろいろあって」
「このまえは体調悪くて、今日は寝不足? 大丈夫なの、カナ」
「ぜーんぜんっ、ぴんぴんだよ!ほら!」
手を大きく広げて元気さをアピールすると、琳果は疑いつつも不思議そうにうなずいた。
「そう……? ならいいけど」
セーフ。
別に琳果になら、吉良くんを気になっていることを言ってもいいけれど。
どんどん言うタイミングを逃しているおかげで、まだ口にできそうにない。



