たった3文字。
本当に困惑しているのか、わたしの目をゆるく見つめてくる。
受け取る受け取らない以前に、なぜなのかを伝えていなかったのだから当たり前の反応なんだろうけれど。
吉良くんがわたしに興味を持ってくれた気がして、なぜか、ほんのりと嬉しかった。
「昨日、わたしがケガしたところにハンカチで手当てしてくれたでしょ? その汚れがとれなくて、代わりにと思って新しいものを選んでたの」
「……そんなの別にいいのに」
「よくないよ! せめて、お礼としてあげたいなってわたしが勝手に思っただけだから」
だから、受け取って。
お願いするように上目遣いで彼を見る。
わたしを見つめ返した吉良くんは、じっと黙った。
無言の攻防戦が繰り広げられる。
負けないぞという意思でずっと視線を外さずにいると、吉良くんは諦めたようにわたしに言った。



