そんなことはさておき。
本題は、後ろに隠している買ったばかりのハンカチを渡すこと。
もっと他愛もない話をしていたいけれど、相手が吉良くんなだけに、いつまでも雑談ばかりしていられるわけじゃない。
そういう距離感はわかってるつもり。
もっと知っていきたいから、なるべく嫌われるような行動は避けたいの。
「ほら、これ吉良くんにプレゼント!」
観念して、ジャーンと彼と目の前に綺麗にラッピングされたハンカチを出す。
いらないなんて言わせない、と笑顔で圧をかけるも、彼の視線はわたしの手にだけ注がれている。
どうやら驚いているらしい。
なにを言えばいいのか迷っているのか、ちょっとだけ間が空く。
彼の言葉を待っていると、やっと吉良くんは口を開いた。
「……なんで?」



