ルンルンでお店の外へ出て、吉良くんを探す。
少し離れたところで、柱にもたれながらスマホをいじっているイケメンくんを発見。
そーっと彼に近づき、驚かすようにちょっとだけ大きな声を投げかけた。
「きーらくんっ」
わっ、と声をあげながら、彼の目の前に立つ。
驚いたのか目を見開いた吉良くんは、わたしを捉えて、ゆっくりとため息をついた。
「……なんでふつうに来ないわけ」
「えっ、吉良くんの無表情を崩したいから?」
「なんのメリットもないじゃん」
あのね、吉良くん。
わたしがメリットがあるかどうかだけで動いてると思ってるなら、大違いだよ。
そう言いたい気持ちは山々だけど、彼が本当に意味がわからないという顔をするから、諭そうとしても無理そうだ。



