「き、吉良くんはなにしてたの?」
葛藤していても仕方がない。
とりあえず吉良くんにそう声をかけた。
明らか学校帰りの彼。
もちろんわたしも同じだ。
でも、男の子ひとりでショッピングモールに来る理由は、偏見ではないけれどあまりピンとこない。
素直に疑問に思うわたしに、吉良くんはなんでもなさそうに答えた。
「ここの横の本屋に来たんだけど、……そのときたまたま枢木を見つけて声かけた」
「本屋さん……!さすが吉良くん、行くとこも頭いい」
感心しちゃう。
わたしは活字が苦手で本屋さんになんて、何年も行ってない。
吉良くんがよくここの本屋さんに来るなら、わたしも通ってみようかな……なんて不純なことを考えてみる。
「で、そんなことより、枢木はなにしてたの」



