なんと都合よく、幻覚って現れるものだ。
まじまじと、目の前の幻(?)の吉良くんを見つめる。
やっぱり美しい顔は現実と変わらない。
まあまさか、本物じゃないよね。
なんとか心を落ち着かせて、レジへ移動しようとする。
けれど、またもや幻覚の吉良くんが喋る。
「いや、……なんで無視?」
「えっ、本物の吉良くん?!」
うそ!
怪訝そうに首を傾げている彼は、どうやら幻覚ではなさそうだと思えてきて、目が覚めてくる。
「……本物ってなに?怖いんだけど」
「その毒舌は幻覚じゃない吉良くんだ……っ!」
「え、なに、枢木こわい」



