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「うーん……、吉良くんって何色が好きなんだろう」
雑貨屋さんを物色しながら、悶々と考える。
いまは、放課後。
怪しんでいる琳果と、まだ遊びに誘ってくれるほかのお友達を振り切って、近くのショッピングモールへ来た。
目的は、昨日のお礼に、新しいハンカチを吉良くんに渡すため。
もちろん、彼自身にはこのことは言っていない。
なぜなら、吉良くんは、きっとそんなのいらないって言うと思うから。
それなら事前に買って、強制的に渡しちゃえば、実物を前に断ることはできないんじゃないかな、っていう彼の善意を逆手にとってのズルい作戦。
それはそうと、数分前から雑貨屋さんの中で、いくつかあるハンカチを眺めているんだけれど。
彼が何色を好きなのか、どんな柄を好きなのかまったくわからなくて。
……わたし、吉良くんのこと、ぜんぜん知らない。
と、しっかり撃沈。



