自分と対極にいる人には惹かれるって聞いたことがあるけれど、本当にそうだとおもう。
わたしと真反対にいる、吉良くん。
ドキドキさせられるし、ちょっぴりツンデレなところにキュンとするし。
……やっぱり、吉良くんのいいところ、あんまりみんなに知られたくない。
だから、まだ、距離をさらに縮めるまでだれにも言わない。
「おーい、授業はじめるぞー」
ガラッと扉をあけて入ってきたなっちゃん先生の声に、みんながガタガタと席に座る。
自分の席に戻るついでに男の子にタックルされている吉良くんは、本気で嫌そうに唇を歪めて何かを言っている。
それに男の子が笑いながら吉良くんの背中をバシッと叩いて去っていく。
被害が大きかった吉良くんは、不機嫌になりながらも、少しだけ口角はあがっていた。
……レアな笑顔だ。
「うあー……、なんであんなにかっこいいんだきみは……」
ひとりで頭を抱えてうなっているわたしに、となりの席の子に「カナ、頭痛?」と心配そうに声をかけられたのは言うまでもない。



