「さすが、吉良。くるみの手にかかってもまったく動じないね」



くるみんの玉砕を見ていた琳果が、机に頬杖をつきながら苦笑する。




吉良くんの無愛想さはみんなが知ってること。


名前すら覚えられてないことなんて普通だし、むしろ覚えてもらってるだけで女の子の敵だと思う。




だけど、わたしが認知してもらってることは嬉しいことに、昨日判明した。



……ということは、わたし、ほかの子よりも一歩先を歩いてる?




だってだって。


「枢木」って呼んでもらったもん。

ケガの手当てしてもらったもん!

さらにさらに、間接キ、したもんね!!

(実は昨日、照れていたのか嫌がる吉良くんの口にクレープを突っ込んだ。もちろん、苛つかれちゃったけれど、ぜんぜん気にしてない。
だって吉良くん、わたしがそのあと『もうひとくち いる?』って聞いたら、プイッてあさっての方向を見て、赤くなった耳で『いらねー』って言うんだもん。
そういうとこ、男の子なのにやっぱり可愛いなって思っちゃった。)