ガシ、と彼の腕を掴み、目を合わせる。
さすがにこの状況では目を少し大きく見開いている彼に、真剣に言う。
「吉良くん。クレープ、好き?」
「は? クレープ? や、普通」
ふ、つ、う!!
〜〜っ、空気を読め!!
思わぬ回答に、黒いオーラのなっちゃん先生がじりじり近づいてきているのが間近で感じる。
「そこは好きって言ってよ?!」
「はあ? 意味わかんねえ」
逆ギレしているわたしに、吉良くんは至って冷静。
「〜〜わたし、クレープ好きだから!
ということで、売り切れる前に買いに行くのついてきて!!」
なっちゃん先生に捕まる前に!
返事を待たず、彼の腕を掴んだままダッシュする。
呆れながらも、どうやら吉良くんはおとなしくわたしに引きずられてくれている。
「おい、枢木ぃ!!」
ごめんね、なっちゃん先生。
わたし、怖い先生よりも、無愛想な吉良くんがいいの。



