「ううん、みんな吉良くんとふたりきりなんてズルいーってきっと言うよ」
放課後の教室。
ちょっと、勝手にドキドキしちゃう。
こんな美麗な男の子と、放課後ふたりきり。
吉良くんとどうこう、というのは想像つかないけれど、というかありえないけれど。
少女漫画的なシチュエーションは、女の子なら誰だって憧れるものでしょ?
「……枢木のほうが」
「んー? わたし?」
しっかりわたしの名前は覚えてくれてるみたい。
この人、クラスメイトの名前、2、3人しか頭に残ってないレベルだからね。
ひとまず、認知度は高めみたいだ。
「……いや、なんでもない」



