文化祭でもそこまで人が集まらないのに、どういうわけか、身だしなみチェック週間でもなんでもない放課後に人だかりができていた。


「なんだろう?」


人だかりの前で澄ちゃんが立ち止まった。


私も同じことを思った。

けど、それは一瞬だけ。


すぐに人だかりの理由を察した。



「芸能人かな?」

「すごいイケメン」


ちらほら聞こえるワード。


“芸能人”“イケメン”“バイク”


“芸能人”がよくわからなかったけど、芸能人と間違うほどのイケメン、という意味なら不明瞭な予想が確信に変わる。



群衆に隙間ができて、先が見えた。

……やっぱり。


「ねぇ光莉!まさか、あの人!?」

「う、うん……」

「超かっこいいじゃん!」


澄ちゃんが興奮で声を上げた。