目を逸らした先にはテレビがあったけど、意識はすべて耳へ……由良くんの声を拾っていた。
それでも反応に遅れるほど、『一緒に行く』の意味を理解するのに時間がかかった。
「……いいの?」
「うん」
優しい頷きが返ってくる。
一緒に行く──つまり、ついて来てくれるということ。
あの家に帰るのにまだ不安を取り払いきれない私の心中を察しての言葉だった。
「それとこれ」
そう言いながら由良くんがクローゼットから取り出したのは白いパーカー。
それを私に渡した。
「その恰好で出るの嫌だろ。サイズ合わないかもしれないけど、これ貸すから着ろよ」
視線を落として自分の姿を確認する。
上下セットのスウェットパジャマ。
胸元にかろうじて英字がプリントされていても、淡いチャコールグレーのそれはいかにもパジャマと言える恰好。



