「今、光莉ちゃんだけ?」
「はい……」
「じゃあ、俺が部屋まで連れていくしかないか」
「あ、私が運びます」
「無理だと思うよ」
お母さんの腕を取って、肩に回す。
瞬間、ずしんと耐えきれないほどの重みが乗っかった。
……重い。人ってこんなに重いんだ……。
「ほらね。俺が連れていくよ」
「……お願いします」
お母さんを玄関に放るわけにいかないから、任せるしかない。
藤さんは軽々とお母さんを支え、2階にある寝室に連れていってくれた。
うちは両親別室で私も1人部屋。
その他にも客間や書斎などいくつか部屋がある。
入口にネームプレートを掲げているわけでもないのに……藤さんはまっすぐお母さんの寝室に入った。
どうしてお母さんの寝室の場所がわかったんだろう、と考えるのは無粋なことなのかな。



