ヨルガオ-午前0時の逃避行-


「由良くん」

「ん?」


今、私を占領する気持ちは恐怖とは違う。


寂しさ。虚しさ。心残り。

端的に言えば、その言葉たち。


家にお父さんとお母さんがいない寂しさよりも、今ここで由良くんと別れることの方が寂しい。



私は、俯きがちに言う。



「また明日もバイクに乗りたいです」



今日会えたのは、偶然や奇跡で片づけられる幸運。


この先同じように会えるとは限らない。

今この瞬間が、今生の別れになるかもしれない。


例えば明日、またコンビニに行ったとして由良くんに会える確率はどのくらいだろう。



二度あることは三度あると言うけれど、幸運は三度目も続かないことの方が多い。


なにより、ここで何も言わずに別れて「また会えたらいいな」と奇跡に縋る。


そんな幸運が私に何度も訪れるわけがないことは、自分がよく知っている。



また会える、確約がほしい。