それから私たちは、海を静かに眺めたり時々言葉を交わしたりして、のどかな時を過ごした。 本当は気の許すまでそこにいたかったけれど、時間は有限で止まることなく進む。 スマホで時間を確認すると、11時を優に超えていた。 背後をトラックが通りすぎたタイミングで由良くんが立ち上がり、私も塀から下りた。 手持ちは何もない。 ヘルメットを被れば準備完了、出発。 バイクで風を切っている間、感じるのは安らぎ。 それが好きで、何度だって乗りたいって思う。 ……なのに。 今そこに、初めて寂しさを覚えた。