我慢しなくていいのに、と思う私が浅はかだった。


次の瞬間、キスの雨が降ってくる。


ひとつひとつが甘くて溶けそう。


交わる音。荒い息。

熱くて照れくさくて。


恥ずかしさと戸惑いが隠せない。


最初にしたキスが傷つけるだけの空虚なキスなら、これは、足りない愛をもとめる強欲のキス。



由良くんが隠していた男の顔。

ちょっとだけ知らない人みたい。


でも……。


自然と首に手を回す、自分にもこんな一面があったなんて知らなかった。


欲張りにもとめる。



唇が離れて、愛を実感するように私たちは微笑み合った。



夜が明けて朝になって、また夜が来ても大丈夫。


一緒に居たい人と「また明日」を迎えるために、何度だって乗り越える。



私の居場所は、あなたのとなり。




ヨルガオ-午前0時の逃避行-〈完〉