「それを聞いたら、なおさら由良くんを放っておけない」

「なんだよそれ……。俺はもう、あんな思いをしたくない」

「それでも私は離れない」


逸らした由良くんの目がこっちを向く。

その瞳は波打つように揺れていた。


「お前を好きになりたくねぇんだよ!」

「私は好き」

「……っ!」


そんな由良くんから目を逸らさずに言う。


「私は、由良くんが好き。これからもずっと一緒にいたい」


すっと出たのは嘘偽りのない気持ち。


話を聞く前から決めていた。


由良くんが助けに来てくれたとき──由良くんの世界を知ったあのとき、どんな過去があってどんな重いものを抱えていようと、私はこの人から離れたくない、と。