ヨルガオ-午前0時の逃避行-


「……昇龍にやられた」

「昇龍……」


昔からある暴走族だ。

町外れの倉庫を根城にしているという。


「なんでか知らねぇけど、女子高生から金を受け取ってるところを見て。そしたら急に……」

「杏樹さん⁉」


話を聞いて真っ先に身体を動かしたのは杏樹だった。


「杏樹、落ち着け」

「落ち着けるかよ!仲間がやられてるんだぞ」


杏樹が“仲間”ね……。

自分のために喧嘩をしてきたあの杏樹が、仲間のために喧嘩を買うのか。


そのとき俺は、たぶん口元に笑みを浮かべていたと思う。


「わかってる。行くのは俺と杏樹だけだ」

「え!俺らも行きますよ!」

「不良集団じゃねぇんだ。敵討ちはしない。ただ……」


このまま黙っているわけにもいかない。

落とし前はつけさせる。