男たちが雄叫びを上げながらかかってくる。


「しねぇぇゆらぁぁぁ!」

「いけっ!」


由良くんが叫んで、私は方向転換し走る。


ボゴッ────


鈍い音や、


「……がはっ……」


えずくような声を聞きながら。



ヘルメットを被る寸前、私はちらっと振り返った。


パイプを避ける由良くん。

男のみぞおちに蹴りを入れる。


すかさずアイジがきらりと光る凶器を取り出すが、それさえも予測していたのか、アイジの手を蹴り上げて凶器を落とす。


慣れている、としか思えなかった。


喧嘩をする人を間近で見たのは初めてだけど、爛々と迎え撃つさまは、こんな修羅場いくらでも乗り越えてきたとでも言うかのようだった。