それから私たちは、街中をぶらついた。
雑貨屋を回ったり、洋服店でウインドーショッピングを楽しんだり。
1つ不思議に思ったのは、由良くんが迷いなく目的地に辿り着くこと。
明確な目的があったわけではないけれど、
「由良くんは普段どんなお店で洋服を買うの?」と訊けば、
「行く?」と連れていってくれた。
大通りから小道に逸れても店がある、ごちゃごちゃした街。
だから、適当なところで疑問を口にした。
「この辺りに詳しいの?」
「んーまあ。バイト先が近いから」
「……⁉」
バイト先!
かけもちでバイトをしていると聞いたことがあるけど、詳しくは知らない。
場所も知らなかった。



