「お前、笑った方が良いよ」 なんて、岩瀬が口元を緩める。 そして岩瀬は私に近づいて、一瞬、何かが私の唇へ触れた。 「悪い、俺。部屋戻るな」 呆然とする私の前から、岩瀬は立ち上がって。振り返る事もしないで、去っていく。 少しボーッとした後、空を見上げると、まだかすかに七色の虹がぼんやりと残っていた。 雨上がりな空の下、はじめてのキスをした。