「これからはどうするつもりだ?」
「この校舎内でも探そうかなってな。」
「そうか。三つだけ調べてない資料室があるから、案内するよ。」
やはり調べておいて正解だったようだ。
探す手間が省けて休む時間も確保できる。勝手にだが、どこか人の役に立ったような気がして嬉しかった。
「何か見つかったか。」
「いや、全然・・・・・・。」
俊也はそう言った。俊也の顔には既に諦めの色が出ているように見えた。
もしかしてフェイクなのか。
これだけ分量のある紙類が保管された資料室は、全て時間稼ぎをするためだけに作られた偽造のものなのか。
はなからここには探し求める宝は眠っていないのか。
そんな、鳥肌が立ちそうな予感が、僕の脳裏をよぎった。
二手に分かれて探した僕らは、再び合流し最後の一室に全てを掛けることにした。
そこに無ければゲームマスターの思惑にまんまとハマってしまった、そんな結果だけが残るのだろう。
「ここだけ妙に広いな。」
恐らく、核となる資料室がここに当たるのだろう。他の部屋に比べ、二倍以上の大きさはあるように見える。
最後にして手掛かりの存在確率が一番高い部屋だと、僕は思う。
雰囲気的に何か状況が打開できる何かが見つかるような、そんな脆くて壊れやすい期待が、胸の周りに漂っていた。
指のささくれの様にカケラが飛び出ている、そんな年季の入った木製の棚が三つ等間隔に並んでいた。
壁伝いにも金属製のガラス窓が付いた棚があった。
全員、その大きさに若干の戸惑いを抱えつつも、手がかりの捜索に移った。
しかしすぐに見つかるわけもなく、僕も的外れだと諦めの感情を抱いていた。
若干の罪悪感が僕の心をかすめながらも、僕は手を動かしていた。
そんな折、僕は一枚の紙切れを手に取った。
「これって、メモ……、だよな。」
僕は不自然に区切りをつけながら、そういった。
僕は錆の見られる棚から、それをおもむろに取り出した。
「五月七日。今日クラスの一人の生徒に校舎裏に呼ばれた。その後なぜかボコボコに。なんでだろう……。って書いてある。」
僕はそう読み上げた。
恐らくだが、これは日記だ。日付と一行程度の呟きのような文章が書かれている。
「手がかりだ……。」
「何? これが手がかりだと? 俺には資料の中に紛れた日記の破片のようにしか見えねえけど。」
「まずさ、学校の資料室に、なんで日記の破片が落ちているんだよ。不自然すぎやしないか?」
僕は、自分が感じた違和感を伝えると、司令官はどこか納得した様子で「確かに。」と言った。
確かにこの不自然に千切られた紙が日記である事は間違いない。内容や書き方から判断すれば、その可能性が一番高いだろう。
問題はなぜそんなものがここにあるか。全てが不合理で、同じ紙類だとしても使われた用途が明らかに異なっているように、僕には見えた。
そしてこの形態から察するに、一枚で完結するものではなさそうだ。
「手分けをして全て集めよう。そしたら何かが見えてくるかもしれない。」
ミスリードの可能性も否めないが、行動を起こせば何か見えてくるものもあるだろう。
その時にまた考えれば良い。まずは行動の指標を決めることが重要だと、僕は考えていた。
僕の提案に今まであまり乗り気ではなかった 二人も、案外すんなりと納得してくれた。
何か心の変化でもあったのかと少々驚いたが、足並みが揃った事は喜ばしい事だった。
「んじゃ。今日はこれで終わりだ。また明日、明るくなったら活動開始な。」
方向性もトンネルの半ば辺りまでは、見通しが立った。俊也はタイミングを見計らって解散の号令をかけた。
「私たちも行く?」
「そうだね。」
僕らは、あの二人も追随するように教室を去った。
因みに前を歩く二人は、メガネの女子が川上友花。
そして金髪の女子が香川紗南。
話の流れから自己紹介をして、二人の情報を多少は掴んでいた。記憶については名前と学年程度しか覚えていないそうだった。
「この校舎内でも探そうかなってな。」
「そうか。三つだけ調べてない資料室があるから、案内するよ。」
やはり調べておいて正解だったようだ。
探す手間が省けて休む時間も確保できる。勝手にだが、どこか人の役に立ったような気がして嬉しかった。
「何か見つかったか。」
「いや、全然・・・・・・。」
俊也はそう言った。俊也の顔には既に諦めの色が出ているように見えた。
もしかしてフェイクなのか。
これだけ分量のある紙類が保管された資料室は、全て時間稼ぎをするためだけに作られた偽造のものなのか。
はなからここには探し求める宝は眠っていないのか。
そんな、鳥肌が立ちそうな予感が、僕の脳裏をよぎった。
二手に分かれて探した僕らは、再び合流し最後の一室に全てを掛けることにした。
そこに無ければゲームマスターの思惑にまんまとハマってしまった、そんな結果だけが残るのだろう。
「ここだけ妙に広いな。」
恐らく、核となる資料室がここに当たるのだろう。他の部屋に比べ、二倍以上の大きさはあるように見える。
最後にして手掛かりの存在確率が一番高い部屋だと、僕は思う。
雰囲気的に何か状況が打開できる何かが見つかるような、そんな脆くて壊れやすい期待が、胸の周りに漂っていた。
指のささくれの様にカケラが飛び出ている、そんな年季の入った木製の棚が三つ等間隔に並んでいた。
壁伝いにも金属製のガラス窓が付いた棚があった。
全員、その大きさに若干の戸惑いを抱えつつも、手がかりの捜索に移った。
しかしすぐに見つかるわけもなく、僕も的外れだと諦めの感情を抱いていた。
若干の罪悪感が僕の心をかすめながらも、僕は手を動かしていた。
そんな折、僕は一枚の紙切れを手に取った。
「これって、メモ……、だよな。」
僕は不自然に区切りをつけながら、そういった。
僕は錆の見られる棚から、それをおもむろに取り出した。
「五月七日。今日クラスの一人の生徒に校舎裏に呼ばれた。その後なぜかボコボコに。なんでだろう……。って書いてある。」
僕はそう読み上げた。
恐らくだが、これは日記だ。日付と一行程度の呟きのような文章が書かれている。
「手がかりだ……。」
「何? これが手がかりだと? 俺には資料の中に紛れた日記の破片のようにしか見えねえけど。」
「まずさ、学校の資料室に、なんで日記の破片が落ちているんだよ。不自然すぎやしないか?」
僕は、自分が感じた違和感を伝えると、司令官はどこか納得した様子で「確かに。」と言った。
確かにこの不自然に千切られた紙が日記である事は間違いない。内容や書き方から判断すれば、その可能性が一番高いだろう。
問題はなぜそんなものがここにあるか。全てが不合理で、同じ紙類だとしても使われた用途が明らかに異なっているように、僕には見えた。
そしてこの形態から察するに、一枚で完結するものではなさそうだ。
「手分けをして全て集めよう。そしたら何かが見えてくるかもしれない。」
ミスリードの可能性も否めないが、行動を起こせば何か見えてくるものもあるだろう。
その時にまた考えれば良い。まずは行動の指標を決めることが重要だと、僕は考えていた。
僕の提案に今まであまり乗り気ではなかった 二人も、案外すんなりと納得してくれた。
何か心の変化でもあったのかと少々驚いたが、足並みが揃った事は喜ばしい事だった。
「んじゃ。今日はこれで終わりだ。また明日、明るくなったら活動開始な。」
方向性もトンネルの半ば辺りまでは、見通しが立った。俊也はタイミングを見計らって解散の号令をかけた。
「私たちも行く?」
「そうだね。」
僕らは、あの二人も追随するように教室を去った。
因みに前を歩く二人は、メガネの女子が川上友花。
そして金髪の女子が香川紗南。
話の流れから自己紹介をして、二人の情報を多少は掴んでいた。記憶については名前と学年程度しか覚えていないそうだった。
