ー屋上ー

「國谷くん…?」

ドアを慎重に開けて、私は屋上に出た
だけど彼の姿は、どこにもない

「(あれ、もしかして保健室かな…)」
「かーしーわーぎーさん」
「!!!」ビクッ

振り返ると、ニコッと笑う國谷くんがいた

「く、國谷くんか…!もう、驚かさないでよ……」
「あはは、ごめんごめん。どうしたの?ここに来て」
「あ、えっとね。ごはん、一緒に食べよって言いに来たの」
「!」

國谷くんは、しばらく驚いていたけど、またいつもの笑顔に戻って、私の手を引っ張った

「食べよ。今日は暖かいし」
「うん!」

昨日のように、柵は越えず。真ん中の、まん丸い白いベンチに座った

「へぇ、柏木さんのお弁当、色とりどりだね」
「えっへん!いつも自分で作ってるの」

私は自慢げに言う

「だけどお弁当作るだけで今までの彼氏や好きな人には重いって言われたんだよね…重いってどういうことよ、重いって…」
「女子の闇が垣間見えた気がする」
「どゆこと!?」

でも、と國谷くんは言った

「美味しそうだね」
「…う、うん。……あ、た、食べたいならどうぞ!」
「え、柏木さんが食べさせてくれるんじゃないの?」
「な、なんで私!?」
「だって俺、箸持ってないもん」
「あー………」

私は箸で卵焼きを摘んだ

「………あ、あーん」
「え?箸貸してくれればいいんだけど」
「!?!?!?//////」

そ、そうじゃん!!

「あっははは!面白すぎ」

腹を抱えて笑う國谷くんと、顔を真っ赤にする私
恥ずかしすぎる………
すると、國谷くんはバクンと卵焼きを食べた

「おっ!美味しい!」
「!」

ニッと笑う國谷くんを見て、私は、料理をしててよかったと、初めて思った