とぼとぼと戻ってくると、柚月の唯一の友達、北条(ほうじょう)リオと渋谷(しぶや)サラが、それぞれ菓子パンと弁当を食べて待っていた

「遅かったじゃん。また学園王子からのお説教?」

ケラケラと笑いながら、リオは柚月にお菓子を渡す

「普通って、そんなにいけないものかしら……」

柚月がどんよりとしていると、サラがすかさずフォローに入る

「そんなことないよ。ひとりひとり違うんだから」
「そうそう。金子みすゞも言ってたじゃない。“みんな違ってみんないい”って」
「唯一頼れるの、2人と金子みすゞだけだよ……」

あ、金子みすゞも友達なんだ……と、サラは苦笑いした

「ほら、菓子パン食って元気出しなさい」
リオは柚月の口の中へ無理矢理菓子パンを詰め込む。だけどこれが、彼女なりの慰めなのである
「」々48…16○4\!!」
「何言ってんのかわかんないっつの」
「リオちゃん、それ拷問だよ…」

ぎゃーぎゃー騒いでいると、担任の三上がまた柚月に声をかけた

「柏木、今日は定例委員会があるから、忘れずにな」
「げっ!今日でしたっけ!?」

柚月は勢いよく立ち上がって聞き返した
それを見ていたリオは笑い出す

「ははは!ついてなさすぎ!」
「柚月ちゃん、今年厄年なの…?」
「違うよ?!」
「まあ、すぐに終わるんだからギャーギャー騒ぐんじゃない」

任せたぞ、と言って、三上は去っていった

「嘘つけ、この前1時間くらいかかったじゃんか」

ブツブツと文句を言いながら座ると、弁当が空っぽになっていた

「うまかったぞ」
「リオーー!!??私のごはんんんんん!!」
「お、落ち着いて柚月ちゃん!私のあげるから!落ち着いて!」