ザバーン

波の打つ音が私たちを包み込む







千景『陽葵さん好きです』





波の音が消えて、シーンとなる





千景は私の目を見て言った







千景『ずっと、憧れだった
皆の真ん中で笑ってる陽葵さんが
でも、人間って欲張りだから
気付いたら独り占めしたくなってた』







零れ落ちる涙が頬を伝う







千景『でも、僕には好きとか恋とか難しくて分からなかった
それで、体育祭の時保健室で聞いちゃったんだ
丈翔くんが陽葵さんの事好きだって
慌てて逃げ出したんだ
その時、気付いたんだよ、僕は陽葵さんが好きなんだなって』







嘘みたいな話に涙が止まらない








千景『僕はもう2人は付き合ったのかなって思って、陽葵さんと話すのを避けた
でも、ずっと辛かったんだ、ごめんね』







勢いよく首を横に振る
千景は何も悪くない