「先輩」

なんて言ったらいいか分からなくて俯いていた私の視界に影ができる


「……なん、ですか、」

「さっき、なんで泣いてたんですか?」

隣に座り込んだのか端に棗くんの制服が映る


「おし、えません」

「うそ」


ちら、と横に目を向けると棗くんは優しく目を細めて笑っていた


「……」

「あと、僕のこと見つけてましたよね?
なんで声かけてくれなかったんですか?」

「っ……」

「いしき、してくれたんですか?」

「ちがっ……」

顔を上げ抗議しようとした私の頬に…棗くんが触れた


「やっと目、あわせてくれましたね」

「ぁぅ……」

逸らそうとしても顎を摑まれてそれは許されなかった


「先輩、」

「っ……なん、ですか?」

「どうして目を合わせようとしないんですか」

それでも、目をキョロキョロさせる私に棗くんが瞳を揺らした