「っぶね…」 目を瞑ったら、体に腕が回り、ぎゅ、と力がこもった 低くて心地よい声に恐る恐る目を開けると── 「……キス、できそうですね」 すぐ目の前に“棗くん”の顔があった 「っ………!」 体をのけぞらせようにも“棗くん”の腕がまわっていて動けない 「……この距離だと、顔真っ赤なのが分かりますね」 「なっ……」 「っ!!な、なにっ~…しっ…」 「先輩の真っ赤な顔が可愛いせいですよ」 唇に手を当て、悪気のない顔の“棗くん”をキッと睨む あまり効果無しで薄暗い中微笑んでいるのが分かった