「ねぇ……ツパイが渡したあの袋はなあに?」

 思いがけず追い出された小屋の手前で、ふと尋ねる。

「あれはお薬ですよ。僕の一族は代々薬剤師なのです」
「え! へぇ~そうなんだ!!」

 其処で一つ納得の行く道筋に辿り着いた。テイルさんが急に元気になったのもツパイが訪れた後だ。よっぽど即効性のある特効薬なのかも知れない。

「僕が眠っている間、大丈夫でしたか? ユスリハ」
「え?」

 急に問い掛けられて驚きの声を上げてしまった。大丈夫ってどういう意味?

「此処までの旅路、きっとラヴェルは何も教えてくれなかったのでしょう? そろそろ堪忍袋の緒も切れるのではないかと」

 図星よ、ツパイ。いい加減このハテナだらけをどうにかしてほしいわ。

 心の声はその表情と深い溜息に滲み出ていたらしい。ツパイは幽かに苦笑して、

「この後ラヴェルに打診してみます。僕が再び寝入る前には多少のことはお話致しましょう」
「その約束、絶対よ~ツパイ!」

 一つでも二つでも……もうとにかく分からないことばかりで満たされているのは辛かった。そして其処からウエストへと繋がる何かが見つかればと、あたしは切なる希望に胸が震えた。