「おはようございます、ユスリハ」

 屋根裏部屋というくらいだから、もちろん十分な広さではなかったけれど、それでも久し振りにカプセルではない開放感溢れたベッドと空間が、あたしを深い眠りに(いざな)っていた。

 呼ばれた声に向けておもむろに寝返りを打つ。僅かに開かれた瞼の先に、相変わらず瞳を見せないツパイが居た。

「わっ! ツ、ツパイ……お、おはよ?」

 どうやって此処が分かったのだろう?

「そろそろ起きられますか? 朝食もまもなく出来ますよ」

 確かに階下からベーコンの焼かれるいい匂いが立ち昇ってくる。あたしは慌てて布団から這い出し、

「う、うん! ごめんね、起こしてもらっちゃって」

 着替えに手を伸ばすや、ツパイは「いいえ」と一言、梯子を降りていった。

 それからまもなくしてリビングに移ったけど、キッチンにはラヴェル独りで、ロガールさんの姿は見えなかった。ツパイは既に待ちかねたようにテーブルに着いている。やっぱり三日も寝ているとお腹が空くのね。

「やあ、起きたかい、ユスリハ」

 と扉が開いて、何やらなみなみ入った桶を抱えるロガールさんが現れた。途端椅子から立ち上がるツパイ。ロガールさんに駆け寄りサッと……(ひざまず)いた!?