触れなければ分からない──触れる──口づけ? ラヴェルもあたしを『血』で感じ取ったってこと!?

「ロガールさんは、あいつ──あ、いえ……か、彼と親族なんですか?」

 あたしは恐る恐る、耳ざといラヴェルを危惧して小声で問い掛けた。それでも用心して奴の名前は出さずにおいた。

「彼? ああ……そうだな。遠い親戚と言えば親戚だ。まだ彼が生まれる前に国を出てしまったから、初対面だがね。……ん? てことは、あいつはお前さんに触れたってことか!」
「え? あっ、いえ、そのっっ──」

 きっと『キス』されたことを推測されたのだ、と気付いたあたしは、途端に図星の表情を赤面させてしまっていた。ロガールさんの高らかな笑いは止まることを知らず、やがて湯上りの爽快感に包まれたラヴェルが戻ってきて、思いがけず賑やかなリビングに首を(かし)げる。

「デリテリートの子孫よ! なかなかやりよるのう!!」
「??」

 その首に太い腕を絡まされたあいつは、不思議な顔をしたまま固まっていたけれど、あたしはもう弁解の余地など見つけられず、仕方なく浴室に逃げ込むこととなった。



 でも……一体何なのよ! 彼らの『血』が、うちの家系の『匂い』を感じるって、まったくもって……どういうことっ!?