「で? こんな山の中腹に降り立って、一体どうするつもり?」

 三日間ひたすら真っ直ぐ北上した結果、想像した通りの山並みに辿り着き、切り立った峰の一部開けた台地に船は吸い込まれていた。

「少し歩いた先に家畜を放牧しているお宅があってね、其処に用があるんだ」
「ふうん」

 コクピットを出ながら説明するその背を追い、階上で荷をまとめ始めたラヴェルの指示に従う。どうやらそのお宅に今夜は泊めていただくらしい。同じくお泊まりセットを荷造りし、ピータンを肩に乗せたラヴェルと共に、既に夕闇の落ちた外へ出た。

 ツパイ、明朝起きるよね? 置いてきちゃって大丈夫なの??

 そんなことを少しばかり心配しながら──。



※飛行船の着陸について:現実の物はこのように簡単に着陸することは出来ません。実際には飛行船の先端に付いている紐を、地上で掴み取って着陸させるのだそうです。その為に広大な平坦地が必要です。また連続飛行出来る時間もずっと短いです。フィクション&ファンタジーですので、その辺りはご容赦くださいませ。