「守るって……一体何から? ──あっ!」

 そうだ……昨夜も同じ言葉を聞いた。眠くなる前にラヴェル本人から!



 ──「いずれ分かるよ、ユーシィ。でも、君だけはちゃんと守るから」



「それって化け物からってこと? あのっ、あたし達もあの化け物に襲われるの!?」
「とりあえず『脅威』から、としか言えない僕をお許しください」
「ツパイの意地悪~」

 言葉と態度では軽くふざけてみせたけれど、あの化け物のことを思い出したあたしの服の内側では、全身が粟立っていた。嫌だ、もう、二度と! 絶対思い出したくない、あの恐怖を!!

「ユーシィ、もう来てたんだね。 二人で何の悪だくみ?」

 と、背筋に悪寒の止まらないあたしの肩に勢い良く、後ろからあいつの掌が乗せられて、ふとささくれたような鳥肌が元に戻った。

「わ、悪だくみなんてしてないわよ! それより鼻の頭に泥ついてる! 顔洗ってきて!!」

 タイミングの良い冗談に、救われた自分を少し恥ずかしく感じていた。あたしは慌てて立ち上がり、洗面所へ向かうラヴェルとは真逆の、庭を熱心に手入れするテイルさんの許へ駆けていった。



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