ダイニングに降り注ぐ淡い陽差しの中で、あたしはお茶を淹れながら、その言葉に思わず手を止めてしまった。

「大変心苦しいのですが……ユスリハ、今は何もお答え出来ません」

 ツパイはあたしの質問を、二三聞いた時点でそう断言したのだ。

「ど、どうして? 何で隠す必要があるのよ!」

 まだ半分しか注いでいないカップを既に手に取り、薄い唇へ寄せるツパイ。一口飲んで一息つき、見えない瞳をあたしに向けた。

「現状僕にもラヴェルの考えが見えないからです。彼の方針が伝えられ、ユスリハにお話しすべきだと納得がいけば伝えましょう」
「……??」

 もう一言目で半分諦めていたけれど、ツパイの二の句にきっぱり諦めがついた。きっとダメだ……ツパイも教えてくれない。でもラヴェルの考えって何なのよ! ツパイはラヴェルの召使いなの!?

「ですが……これだけは言えますよ」

 大袈裟な深い溜息を吐いて、疲れたように目を閉じるあたしの横顔へ、それから驚きの言葉が投げられた。

「ラヴェルは……貴女を必ず守りきるでしょう」
「──え?」

 聞くや否や急いでそちらへ振り向いてみる。その視界にはニッコリ微笑むツパイが居た。