「タラさんって、何をしていて、何の為に合流するの?」

 唇に近付けたハーブの自然な匂いが、微かに鼻腔をくすぐった。

「表向きはカラーセラピスト、かな。裏では何しているのか知らないけれど」
「何よそれ。あんた共々怪しい人ばっかりね」

 温かな雫を舌の上に流すと、今日一日の疲れが解消されていく気がした。

「合流する理由は……いや、元々一緒に旅をしていたのだけど、ちょっとある物を取りに戻ってもらっているんだ。数日中には追いつくと思うけれど」
「ふーん」

 同じようにカップを傾けたラヴェルは、冷めた一杯目を一息に飲み干した。

「あ! あともう一人のツパって人は?」

 タラさんよりも早く会って、自動操縦の仕組みをご教授願いたい人だ。

「ああ……ツパは、明日には会えるんじゃないのかな」
「ツパって人も『お姉さん』?」

 ツパという名前からは性別すら分からないな。

「うん~ツパは難しいね。父とも母とも、兄とも姉とも、弟とも妹とも……どれでもありそうでどれでもない。そんな感じ」
「それってどんな感じよ!?」

 それじゃ年齢も性別も分からないじゃない! いや……とりあえずその人には明日には会えるのだから、この話は終えて次へ進もう。

 あたしは一度深く息を吸い込み吐き出して、この場の空気と雰囲気を変えた。