「ねぇ……お姉ちゃん、テイルおばさんの所へ行ったよね? 何しに行ったの? もしかしてレイお兄ちゃんの知り合い??」

 テイル? レイ?? ああ、あの女性がテイルさんで、きっと息子さんがレイさんか。

「うん……あたしの連れが、あのおばさんの息子さんと知り合いみたい、だけど?」

 微妙に断言出来ないでいるあたしの答えに、子供達は顔を見合わせ、それを強張(こわば)らせた。

「お姉ちゃんは知ってるの? あの……レイお兄ちゃんが山で化け物に(さら)われたって! そのことでおばさんを訪ねてきたの??」
「化け物……?」

 あたしはその言葉にギクリとした。化け物ってまさか──?

「え? 違うの?? お兄ちゃんは山で木を伐る仕事をしてたんだ。そしたら真っ黒い化け物が現れて、お兄ちゃんを連れ去ったって、仕事仲間のおじさん達が……」
「真っ黒い……」

 心臓が早鐘のように打ち始めた。黒い化け物……それってあたしの父さんと母さんを八つ裂きにした、あの化け物なんだろうか?