「君は今日から自分と……ジュエルのパートナーだ。その(あかし)にラヴェンダーの力を授けるよ」

 ラヴェルは隣で口角を上げたツパイを見下ろした。意を察したツパイは下げた鞄から革袋を取り出し、その中の薄紫の粉を彼の掌にほんの少し広げた。

 噛まれた指から依然しみ出す血液とそれを合わせ、モモンガの口に含ませてやる。その刹那、灰色の身体が一瞬紫の光を(まと)い、そして──



 ──ラヴェルだよ。君の名前は?



 モモンガの小さな耳がピクピクとはためき、首は右へ左へと何度も振り向かせてしまった。が、やがて聞こえた声が心の通った証拠だと気付いた『彼女』は、ラヴェルの頬に自分のそれをすり寄せた。



「え? ピータン??」



 『彼女』と同じ黒曜石の瞳を瞬かせたラヴェルは、すっとんきょうな声を上げ、

「……まるで何処かの卵料理みたいだね」

 と楽しそうに呟いた。にこやかな笑みを乗せた頬と掌で、愛情深く『ピータン』を撫でる。

「これから宜しく頼むよ、ピータン」



 こうしてピータンは、ラヴェルの無二の『パートナー』となった──。



◆続編でもピータンは、ユスリハに負けない(笑)ラヴェルのパートナーです。



◇ラヴェルにぞっこんのピータンを再び◇