あたしが修理をしている間、ツパイはラヴェルを看ていてくれて、タラは美味しいブランチを作ってくれた。

「何とか直しましたよ~!」

 前回のラヴェルの時よりも酷い有り(さま)だったけれど、あたしの腕も上達した所為か、同じくらいの時間で完了出来た。

「ありがとーユスリハちゃん! ハイ~ご褒美のブランチ」

 ダイニングのテーブルに揃った三人と二匹で、優雅な食事が始まる。

「さて……いきなりお邪魔した理由ですが……」

 と半分ほど進んだ頃、一旦フォークを置いたツパイが言葉を発した。その声にあたしの手元もおもむろに止まっていた。

「……ついに、ジュエルがヴェルを手放しました」
「え!?」

 手放した……?

 驚き開いたままの唇へ、ツパイとタラがにこやかな笑みを向けた。

「二週間程前のことです。ヴェルを覆う雲が晴れ、ゆっくりと下降を始めたのです。そうしてとうとう海上に辿り着き、ヴェルは通常の島国と化しました」
「ほ、本当にっ!?」

 大きく頷く二人と一匹。ジュエルが……ヴェルが……ついに!!

「突如海洋に大きな島が現れた訳ですからね、周辺諸国は仰天していますが……ロガール様をはじめ政府の面々が、今後の外交を求めて調整しています」
「本当……なんだ──」

 あたしの口から感嘆の呟きと沢山の空気が流れ落ちた。