「で、どのカプセルで眠ればいいの?」

 今一度戻って立ち上がる。ラヴェルは「見た其処で大丈夫だよ」と示し、自分はその隣で寝ていることを告げた。うーん……それとも上で寝てみようかな? と好奇心の瞳を上部の二台に向けてみたが、

「ごめんね、上はどっちも物置き状態なんだ」

 そっか……残念。

「物置って何が入ってるの?」

 特に詮索する気もなかったけれど、そのまま何気なく質問を続けた。ラヴェルは少々苦々しく、

「右側は後で合流するタラの私物。左側は……今日は『二日目』か……明後日にはきっと分かるよ」

 タラ? 明後日??

 そう言って洗面所に促すラヴェルにうやむやにされてしまったあたしは、心残りを感じながらも歯磨きを済ませ、既に薄暗がりにされたリビングを寝台の方向へ歩いていった。──が、

「あんた、わざわざあたしを待ってたの? 別に先に寝てても良かったのに」

 ラヴェルは壁にもたれて腕を組み、静かにこちらを見詰めていた。

「ああ、洗面所待ち? ごめんね、先に使わせてもらって。それじゃおやすみ~」

 何だか妖しい雰囲気を感じて、敢えて明るく取り繕った。い、嫌な予感がする……カプセルはロックして眠ろうっと! と扉に手を伸ばし屈んだところ、

「ひやぁっ!」

 後ろから長い腕が伸びてきて、あたしを直立させ腰に絡みついた。