それからあたし達は互いの涙を拭いて、おじさんに全てを打ち明け、全員で花摘みの唄を歌いながら沢山のラヴェンダーを摘み採った。

 途中上空の強い風が厚い雲を吹き寄せて、ちょうど太陽が顔を出すように丸い空を顕わにしてくれた。其処から注がれた光のカーテンは、まるで真白いオーロラのようだった。

「お姉ちゃん、ママの仕事場へ行こ」

 おじさんにお代を払ったのは、片手では少し持て余す程の花束を二つ分だけ。それも「初回サービスだよ」と相場の半額にしてくれた。あたし達は深くお辞儀をしてにこやかに手を振り、反対の手はお互いの手を握って弾む足取りで山を降りた。

 ミルモの自宅はお義母(かあ)さんの両親が手入れをしてくれているらしく、空き家でありながらも小綺麗に片付けられていた。香水作りの作業場も、ミルモが言ったようなラヴェンダーの散乱は既になく、西からの暖かな光が整然とした様子を照らし出している。

「これだけあれば沢山作れるわね」

 あたしはおじさんが用意してくれた麻袋から、ラヴェンダーの枝を取り出して、ミルモが難儀そうに抱えてきた平たいザルの上に乗せた。もう花房がかなり落ちていて、袋を逆さにすると、むせぶ程の強い香気が紫色の粒と共に辺りを煙らせた。