「ごめんなさい……アタシにもおじいちゃんとおばあちゃんがいる……」
「え……?」

 ミルモは同じ気まずそうな表情をして謝った。

「ママのパパとママ。一週間に一回は来てくれて、一緒に暮らそうって言ってくれるの。でもアタシ、ママのこと嫌いにならなくちゃって思ってたから……」
「ミルモ!!」
「え?」

 あたしは思わず叫んでいた。

「よ、良かった~! ミルモにもちゃんと家族が居るのね!! もうおじいちゃんとおばあちゃんの所へ行くでしょ? 一緒に暮らすでしょ!?」
「う、うん……おじいちゃんとおばあちゃんがいいよって言ってくれれば……」
「言うに決まってるわ! だって家族だもん!!」

 あたしはツパイとアイガーに目を向けた。同時に頷く一人と一匹。そうよ、家族なら過去に何が遭ったって揺るがない!

「ねっ、これからラヴェンダー摘んで芳香蒸留水(ハーブウォーター)を作らない? 花束とそれをプレゼントに持って、おじいちゃんとおばあちゃんの所へ行こう!」
「お姉ちゃん……」

 ミルモはあたしの目の前に立ち上がった。

「ありがとう……ありがとう、お姉ちゃん!」

 『ごめんなさい』は『ありがとう』に変わり、あたしからの抱擁は、ミルモからの抱擁に変わった──!!