でも、本当に上手く行くのだろうか?

 あんなに意欲満々だった心の(たぎ)りは、帰宅した途端に(しぼ)んでいた。

「とにかくやってみるしかないっての!」

 勢い良くベッドから飛び起き、首を左右に振った。気持ちを切り替えなくちゃ! 瞳に力を込めてリビングの扉を颯爽と開き……あれ? 今日はタラが作ってくれるの? キッチンには可愛いフリルのエプロンをした、スラリと高い背中が見えた。

「あらん~ユスリハちゃん、おはよ?」

 いえ……横にはなってましたが、眠ってはいませんから。

「夕食当番に指名されちゃったんですか??」

 バーカウンターのような高い椅子に着き、あたしは頬杖を突いて好奇心を寄せた。

「ヤ~ネ~、ワタシだってたまにはやるのヨー、ユスリハちゃんのように花嫁修業しておかないと腕が(なま)るしネ」
「誰が花嫁修業ですか……」

 相変わらずのツッコミに心がくすぐられた気がした。

「ユーシィ、寝グセついてるよ」

 結い上げた髪がふと後ろから撫でられた──ラヴェル、居たんだ。

「明日、一緒に行こうか? ミルモの所に」
「え?」

 続けて訊かれた言葉に驚いて、隣に立った姿を見上げる。