それから賑やかな食事の時間は終わり、あたしは食器を片付けて、アイガーと共に眩しい表へ出た。

 あたしに何か遭った時、ラヴェルと常に行動するピータンと交信が取れる為にだそうだ。もちろんそんなこと、ないに越したことはないのだけど。

 タラとラヴェルは食後そのままテーブルで、何やら作戦会議を練り始めた。こちらの予測としてはミルモが癒され次第ウェスティは動き始めると見ているが、必ずしもそうとは限らない。いつ襲来があっても対応出来る策は整えておかねばならない──のだと。

 それでもラヴェルには一つの確信があるようだった。あのツパイとの交信を気付かれないように、ラヴェンダー・ジュエルがウェスティを(あざむ)いてくれたこと。今回もジュエルは(ひそ)かに実践している。それを感じ取れるのだと言っていた。

 あたしは少し暑そうに舌を出したアイガーと坂を降りた。毛皮を着ているようなものだものね。後で少しでも短く刈ってあげたら涼しく感じるだろうか?

 そんなことを考えながら街へ入る。城門の向こうはツルツルピカピカの石畳。まるで水を張ったように濡れて見える程の美しい大通り。

 とりあえずずっと東へ進み右折して、ラヴェルの教えてくれたあの孤児(みなしご)達の溜まり場へ向かった。その中庭にミルモが居るのだとしたら、敷地内に入らなければならないけれど……一体どうしたらいいのだろう?


 途中見つけた青空市場でアプリコットのドライフルーツを買う。噛み締める度に溢れ出す甘さが、身体の中に力を湧き上がらせた。

 そして……徒歩十五分で入口から真反対の溜まり場へ到着。本当に小さな街だ。建物の周りにはどんな人影も見えなかった。で……あたしが思いついたのは──。