「持ってる物が持ってる物だから。ゴンドラ内で見つかって没収されても困るんでね」

 ラヴェルが取りに戻ったのは、布で覆われた二本の長い──タラとラヴェルの剣だった。

「じゃ、じゃあ、あんたはどうやって帰るのよ? 歩いて丘を降りる気?」

 丘と言うより山と言える程の高さだ。暗闇の中、一時間以上は掛かるに違いない。

「いや、飛んで帰るよ。もちろんユーシィのゴンドラが降りきる前に、乗り場に着いて待ってるから」
「うん……」

 たった十分足らずの移動の間なのに、独りにされるのが淋しく思えた。ダメだな……明日からは単独行動するつもりなのに。

 そんな落ちてゆく気持ちを察したのだろうか、ラヴェルが今一度問い掛けた。

「それとも一緒に飛んでいく? この風なら二人でも問題ないし、コテージまで直接戻れると思う。ただ……また抱き締めることになるけど」

 差し出された提案にハッと顔を上げていた。が、最後の言葉で明るく返そうと思っていた返事は、正直に喜びを表して良いのか分からなくなって、ふと歪んだ面持ちになった。