「ね、ねぇ、こんな夜更けにタラを独りで帰して大丈夫なの?」

 あたしは早足でラヴェルに追いつき、その横顔に憔悴を見せた。幾ら剣士でも今は剣もなく、さすがに大勢で襲ってきたら太刀打ち出来ない筈だ。

「大丈夫だよ。そこらの(やから)なら、束になってもタラには敵わないから」
「そ、そうなの……?」

 自信に満ちた答えと表情に、刹那あたしは胸を撫で下ろした。けど……?

「十年前、タラはスティの(たくら)みを知り、本来の継承者である自分が襲われた時に全力で守ってくれた。でもその時は無心で盾になることしか思いつかなかった。未来の花嫁だったからこそ、スティは彼女を傷つけられず、結果自分も救われた……その時タラは誓ったんだ。誰にも負けない、スティにすら勝てる力を手に入れようと」

 真っ直ぐ前を見通し説明する、引き締められた彼の言葉は、タラの決意の重さと覚悟を物語っているかの如く、一心に夜の空気を貫いていた──。



■タラが呑んだスパークリングワイン×おそらく六本以上(苦笑)



■生牡蠣



■オープンテラスの手前の教会



■白身のカルパッチョ



■茹でた赤海老



■烏賊のフライ



■北西の砦



■砦からの夕焼け