「ごめん、心配掛けて。どうもタラは言わなかったみたいだね?」
「え?」

 知らずうな垂れていくあたしの横顔に、明るい声が返された。

「大丈夫だよ、タラが自分の左眼になるから。前に言ったの覚えてる? 「表向きはカラーセラピスト、裏では何しているのか知らないけれど」って言ったこと」
「あ、うん」

 ラヴェルの……左眼?

「本当は裏の顔も知ってるんだ。タラは剣士、だよ。と言うか……自分の師匠なんだ」
「え……えー!?」

 思わず叫んだ声が周りの観光客の足を止めさせていた。タラが剣士で、ラヴェルの師匠!?

「でも……そしたら……」

 それはタラもウェスティと闘うってことだ。

 そんな心配に気付いたラヴェルが、軽くあたしの肩に手を置いた。

「スティにとどめを刺すのは自分だ。タラには絶対させないよ。だからユーシィは心配しなくていい」
「う……うん──」

 何とか頷いてはみせたけれど、それも受け入れ難い未来だった。これ以上タラにもラヴェルにも哀しみを背負ってほしくない。なのに昔一番身近な場所に居た『彼』を倒さなければならないなんて──。