「うん? あれ……知らないの? 『自動操縦』だよ」
「えっ!?」

 刹那に驚きの声を上げてしまった。あたしが田舎暮らしだからなの? 都会の飛行船はそんなに発展を遂げているの?? ──いや、これからはそういう時代よね……そうなると自動操縦機器のメンテナンスも出来る技術が必要なのか……──どうしよう、何にも知らない。

 返事も出来ずに固まっているあたしを、それでも失望した顔などせずに、ラヴェルは横から見詰めていた。

「今、その辺りの知識がないことに、困ったなって思ったでしょ、ユーシィ? 大丈夫だよ、これから合流するメンバーに、詳しい者が一人いるから。君はエンジン部門を(まかな)ってくれればいい。もちろん君が知りたいと言うなら、きっと教えてくれるよ、ツパは優しいから」
「ツパ?」

 ──合流??

 ともかくこいつから飛行船の『操縦方法』と、そのツパという人から『自動操縦の仕組み』を学べるのなら、この旅路はあの金貨以上のメリットがあることは確かだ。こんな願ったり叶ったりのチャンスってあるのね! と、喜んだあたしの幸運は──今思えば、いつまで続いていたのだろう──。