「うっわー! 本当、すっごく綺麗!!」

 遅い昼食を終えたあたしは、コクピットの窓から思わず叫んでいた。隣にはニコニコ顔のラヴェル。眼下には濃紺の海原に(いだ)かれたような、大陸からポッコリ飛び出たオレンジ色の街並みが見える。それは楕円形の城壁に一周囲まれて、とても一体感のある風景だった。

 あれからあたしはタラの抱擁の中で必死に涙を(こら)えた。そして自分と約束したのだ。もうラヴェルに淋しい顔は見せないと。せめてウェスティと対峙するその時まで、この旅路くらい楽しい時にしてあげたい。

 そう意を決めたあたしは気持ちを切り替え、ラヴェルの代わりに昼食を作った。たまにはスープ以外でも、あいつを唸らせたい。タラに手伝ってもらい少し手の込んだ料理に挑戦してみた。あたしが真剣になっている内に、同じく集中していたのだろうラヴェルが汗だくになって戻ってきて、その時にはもうお昼はとっくに回っていた。それから彼がシャワーを浴び終えた頃にやっと食事が整った。